大分・別府ステイ(6)

四日目。
朝食を済ませた後、しばらく部屋でグダグダして過ごす。
お腹が少しこなれた頃、町場の湯屋に向かって出発する。

目的地は海門寺温泉。
駅前高等温泉と同じく、駅と海岸通りの間にあるのだが、ちょっと道に迷った。


こちらは建物が新しく、銭湯って感じ?
やはりあつ湯とぬる湯に二つがあったが、ここのあつ湯はかなり熱い。
入って5秒持たずに飛び出す始末。

ぬる湯でしっかり身体を温める。
浴槽の縁に腰掛けてクールダウンしている(?)、彫り物ありの若い兄ちゃん。
別府では縁に腰掛けるのは禁止事項なんで、僕と同じ他所の人間なんだろう。
たぶん20代前半くらいだと思うが、肩から肘くらいまでにかけて桜吹雪が舞ってる。
タトゥーじゃなくて、入れ墨というヤツ。
やばそうな感じだったんで、チラ見しか出来なかったが、風呂から上がり身体を拭いていると、その兄ちゃんが番台に向かってやや高い声で「ドライヤー貸してくださぁ〜い」と呼びかけていた。案外チャライだけなのかもしれない。コーヒー牛乳を飲んで撤収。

風呂から上がったのが午前11時頃。
ランチは昨夜に引き続き、別府冷麺の名店「胡月」に行こうと決めていた。
食べ比べてみるのだ。
胡月が開いていなかったら、近くにあるとり天発祥の東洋軒に行くつもりだった。

で、胡月まで歩いて行ったんだ。
バカでしょう?
今考えると自分でもバカだと思う。
海音寺温泉から胡月まで約3キロ。
風景を眺めながら、日豊線の線路の脇道をテクテク、テクテク歩いて行ったんだ。
湯上がりの体温上昇と、夏のような強い日差しで、汗だくになった。

で、名店「胡月」。
別府冷麺発祥の地「胡月」の店主が引退した際、それを惜しんだ有志が立ち上げた店。
11:45に到着した時は、店内は満席だが、外にカップルが一組待っているだけ。
拍子抜けした。
僕もその後ろに付いたが、10分ほど待って席に案内された。



冷麺普通盛り。
とても美味しいが、ファーストコンタクトだったのが六盛だったんで、その印象には負ける。
別府冷麺の全要素を纏っているんだろうけど、やや押し出しが弱い感じ。
結果として僕は六盛の方が好きだが、胡月もおすすめな店だと思う。
勘定して店を出ると、20人を超える行列が出来ていた。
タクシーで乗り付ける客を横目に、僕は海岸通りへ向かって歩き出す。

タクシーを捕まえようとしたが、全然クルマが通りかからない。
困ったなと思っていたら、先ほど胡月で客を降ろしたタクシーがやって来た。
「普段は別の道で帰るんですがね、今日はなんか虫が知らせたというか……」という運転手さんと、以心伝心なのだろうか、助かったー。

ホテルに戻り、Macを受け出してスタバで過ごす午後。

3時過ぎにMacを部屋に戻し、僕はタオルを持って歩き始める。
目的地は、1階が温泉、2階が公民館という、きわめて町場な松原温泉。
六盛の帰りに通りかかって、地場の人たちが子供を連れてくる地元感溢れる温泉だなぁと感じたのだ。


番台に行くと、「さっきまでは誰もいなかったのに、あいにく先客が二人入っちゃったよー」とおばちゃん。
もう常連の顔はすべて覚えていて、よそ者の僕を一発で見抜いたのだろう。

こちらは風呂場と脱衣場が一緒に、しかも平面で一緒になっている。
「コインロッカーがありますか?」とおばちゃんに尋ねた時「平気平気、見えるから大丈夫」と言っていたが、確かにそうだ。丸見えだ。

「こんにちはー!」と挨拶すると、先客が「おう!こんにちは」と答えてくれる。
地場の人だ。

風呂場の中央に丸い湯船があって、真ん中で区切られていて、あつ湯とぬる湯になっている。
湯船はやや小さくて、客が多い時は大変だろう。
シャワーのカランはあったっけかな?
みんな湯船から手桶で湯をくみ出して使っていたことしか覚えていない。

「お先に失礼しますー」「おう!」と挨拶を交わして去る。
こういうの好きだ。
今回ひょんな事から町湯巡りをしてみたが、本当に楽しかった。

最後の夜になにを食おうかと思って悩んだが、九州に来てからずーっと気になっていた「Joy Full」に入ってみた。どんな結果であれ、やってみたいことをやってみるべし、だったから。



この肉残念だったわ。。。。

海岸通りをホテルまで歩く。
途中、北浜公園のベンチに腰掛けて、暮れなずむ港を眺めた。
空を眺めていて、その時僕は別府が好きだと思った。
また来たいと思った。

別府三日目終了。

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