BL漫画レビュー:志水ゆき『花鳥風月 3』

同時発売された第一巻、第二巻のファーストインプレッションの懸念は、第三巻に至って現実化した……という感じかな。

なぁ、お姫様。
あんたのために、
最高の器を焼いてやるよーー。

亡き祖母の跡を継いで、町長になった沢斗。
力不足を痛感し、悩む沢斗の唯一の憩いの場・露天温泉に、都会からやってきた陶芸家・大輝が踏み込んできた。
軽薄で図々しい大輝だが、なぜか憎めない。
ある日、沢斗の弟・円魔が倒れーー!?

勇を鼓して率直に言おう、これは失敗作だと思う。
ベテラン作家の志水ゆきに「失敗作だ」と言うのもずいぶん失礼な話だと思うが、少なくとも3巻まで付き合って「で、なんなの?この話??」としか思えないのは、オレが相当バカなのか、あるいは作品が失敗しているからのどちらかだろう。

志水ゆきは前作「是」で大成功を収めた、と僕は思っている。
そのせいか、この作品の作り方も「是」の影響を受けていると思う。花鳥風月の導入部分に当たる「糸川一人と一見雅貴」編は、「是」の雷蔵と紺編を彷彿とさせる。だがしかし、糸川のダメさぶりがなんというか、読んでていらいらした。お前、なんでそんなにガキくせえんだって。雷蔵の空回りも相当だったけれど、婆ちゃんに泣かされたからそれなりにジーンとさせられた。だが、花鳥風月は導入時のキャラクターにイライラさせられたから、後続の印象はますます悪くなる。


そして沢斗×大輝編。
是の紙さま群像劇が成功したことを踏まえたのか、花鳥風月では元バンドグループという設定を持ち込んだ。この微妙な設定と、展開の仕方の下手さが読者を混乱させる。あまり見分けがつきにくい造形の登場人物たち、そして散漫なストーリー展開。「是」ではカップルごとに分かれたオムニバス式にストーリーを展開していたから、読者は感情移入しやすかったと思う。群像に対し、きちんとズームと焦点を絞っていた。今回は……きわめて散漫だと思う。これは作り方の問題で、プロ作家がなにやってるの??ってやや呆れた。

1.絵柄
キャラクターのかき分けが十分できていないのではないか?

2.ストーリー
非常に混乱していて、しかもどのエピソードも深掘りが足らない。設定も微妙。

3.エロ度
後半になってかなりエロイ。だがなあ……主人公たちに感情移入できない濡れ場を見せられても、だから?って感じだ。

4.まとめ
3巻で購入打ち切り。残念。

絵柄 :★★☆☆☆
ストーリー:★☆☆☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です) 

0 件のコメント:

コメントを投稿