今日は母の日でしたね。
僕は大したことはできなくて、銀座からの帰りに高島屋に寄って、Fauchonでパンを、RF1でサラダを2品、ダルマイヤーでオードブルを買って帰宅。あらかじめ用意しておいたリースリングを飲みながら、母の日の晩ご飯にしましたよ。
さてと。
今日銀座に行ったのは他でもない、故障したiPadの修理のためでした。
前夜、Webサイトであらかじめ予約を入れ、初めてGenius Barに足を踏み入れました。予定時刻より10分ほど遅れて、僕の順番が回ってきました。
ホームボタンの不具合と言うことで、あらかじめ覚悟はしていましたが、本体交換になってしまいました。「……この機体気に入っていたんだけどな」と言うと、スタッフは「じゃあ、どうにもなりませんね」という感じでした。apple では個体の修理はやってもらえず、整備品と交換されることになっているようです。
交換用の機材の入った箱を手際よく開け「傷の確認をしてください」と手渡される。そのあと、スタッフが慣れた手つきでバンバンと作業を進めるあいだ、僕は少しぼんやりしていたと思います。画面が立ち上がり確認を求められ、問題がないと答えると、確認のサインを求められ、裸の機材(保護シートで包まれてはいる)を渡されて、スタッフは去って行きました。
ちょっと女々しいことを言ってもいいですか?
機材が交換されてしまうのだろうということは、多少覚悟していました。
乱暴な使い方をして傷だらけになったiPadのオーナーならば、「新品になってラッキー!」というノリで喜んでもらえるでしょう。一方で、大切に使ってきたオーナーからすると「別のものになっちゃうんだ……」という割り切れなさは残ると思います。
実は同じ事が、MacBook Air でも起こりえます。
MacBook Air に同梱される小冊子には、こんな事が書かれています。
「Hello.
この MacBook Air は、
あなたのために生まれました。」
確かに、機材(型番)は同じです。
データはバックアップされているから、復元すれば従前のものと同じ動作をします。
だけど、それは同じものかと言われると、微妙に違う気がするのですね。
経営している米人にとってはどうでも良い感覚なのかもしれませんが。
ふと、アンドロイドが登場するSF漫画を連想してしまいました。
その個体に不具合が出たとき、それと全く同じ機体を用意すれば、オーナーは満足するのか?もちろん違うだろう。じゃあ前の個体のデータを全部引き継いで、同じ見栄えの機体に詰め直したら、それでオーナーは満足するのか?それも微妙に違うと感じるのではないだろうか。そこにはすでに機械と人間という関係を超えた、なにか情緒が存在しているからでしょう。
iPadには前述の小冊子はありません。
一方で、MacBook Air には、オーナーと機体……個体と呼んだ方が良いのかもしれませんが、その強い絆、縁を示唆するメッセージが添えられているのです。それが多分に商売っ気から出てきているものであったとしてもです。
今日、僕がGenius Barでぼんやりしていたのは、発売日に我が家にやってきた「このiPad」との別離を悲しんでいたからです。少なくとも本体交換されることを積極的に望んでいたわけではありませんでした。
保護シートに埃が入ってしまい悔しかったこと、旅先に持ち出して本を読んだこと、彼氏と一緒に画面をのぞき込んでいろいろとおしゃべりをしたこと、父親の病室に持ち込んで長い間話をしたこと、そして故障しないように大切に使ってきたこと……そういう個体として「このiPad」と過ごした楽しかった時間、オーナーのエクスペリエンスを apple は軽く扱っているんだなあと感じると、そのあとに静かな失望が押し寄せてきました。
致命的な故障ではないならば、時間がかかっても「個体」を修理してくれたら良いなあと思います。合理的な米人が経営する apple に"任天堂伝説(http://d.hatena.ne.jp/ksh/20071108/1194526972)"を期待するのは無理なのかもしれませんが。
機体交換するやり方が続くならば、なにかフォローを apple は考えた方が良いのかもしれません。くだらない話ですが、オーナーに新しい個体を引き合わせるのでしょう?だったら、マーケティングチームは「Hello, Again」のカードを添えるくらいの演出を考えてもいいんじゃないかなと思いました。本体交換されて悲しんでいる人って、案外いると僕は思いますよ。例えば誰からプレゼントされた機材だったら尚のこと。
もしapple のスタッフがiPadじゃなくて、例えばミニチュアダックスフンドのような生き物を扱う立場だったとしたら、ああいう対応にはならないんじゃないかなと思うのです。
初めまして、隠れリピーターです^^
返信削除先日、私もiPod nanoの調子がおかしく、
まだお別れしたくないよおと、スリスリしておりました。
ら、復活してくれました^^;
新記事、いつも楽しみにしております。
> gabbychanさん
削除コメントありがとうございます。
それから、隠れリピーターの件も (^^)/
iPod nano 復活して良かったですね。
なんかapple製品は、身につけているアクセサリーや時計のように
ただのデジタルガジェットとは違う関係性が生まれてくるような
気がしているんですよ。壊れちゃったりすると哀しいッス。
これからもブログ、どうかごひいきに。