かぐや姫の物語の感想でも。

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ネット界隈の一部で盛り上がっている"かぐや姫の物語"を観てきました。
「姫の犯した罪と罰。」というコピーライトが印象的だったので、なんか新解釈があるのかな?と期待して行ったら見事に肩すかしを食らいましたよ。

竹取物語なんて子供の時に読んで以来だから、あらすじもはっきりとは覚えていません。念のためWikiで調べてみたが、原作でもかぐや姫は何らかの罪を犯して地球に堕とされ、刑期明けて月に戻る……としか書いていない。だからかぐや姫が月から来たことは皆が知っているが、なぜ地球に堕とされたのかは誰も知らないわけです。

映画の原作となった小説では、月の世界は穢れなき世界、地球は穢れた世界。地球に憧れることは罪であり、だからかぐや姫は地球に堕とされた、となっているらしい。映画の中ではサラッと語るだけなので、よほど注意しないと聞き流してしまう。

月からのお迎えは、穢れなき世界の人たち。穢れない故に、感情すらない世界のようだ。それに対して地上は様々な感情や欲が渦巻き、それは美しいことだったり、醜いことだったり、色々悩まされるのだけど、少なくとも美しい自然と生命力の溢れる場所として描写されている。「様々な感情を持つこと」が罰なのだとしたら、それはちょっとおもしろい解釈なのかもしれない。

で、"かぐや姫の物語"をどう評価するか。

正直、高畑勲監督は苦手だ。
"火垂るの墓"を除けば、大体説教臭いつまらん映画を作る人だと僕は思っている。
"かぐや姫の物語"は、表現方法の点は驚かされたよ。
ディズニー映画がクレイアニメ、古くは人形劇にルーツがある。アニメは漫画をベースにした動く線画である。"かぐや姫の物語"は、色鉛筆か淡い水彩画で描かれた童話の手書きの挿絵が、そのまま動いている感じ。やわらかい動きと、思い切った省略、大胆なデフォルメ。そのやわらかさはディズニーの伸びたり縮んだりの柔らかさではなく、幼女の髪がふぁっさーと解ける自在さ。その表現方法は高く評価されると思う。でも、あまりに実験的、アート的すぎて、他に追随できる作家も少なかろうと思う。

一方で、上映中に「長いわぁ~」とも思った。
オリジナルストーリー部分が冗長で、30%程度は短く出来るんじゃないか。
僕の好みだとあのキャラクターデザインは苦手だったな。
それから月からの迎えが来るときの怪しいニューエイジ系BGM、あれはないよなぁ。

それでも、入場料金の価値はあります。


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