温故知新……大和和紀『はいからさんが通る』

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習慣ってすごいな、っていうか、怖いなっていうか。
風邪引いた1週間。この間、朝のジョギングとか、ブログとかストップしてしまったんだ。そうしたらカンが鈍ったというか、モノを書く習慣が失せてしまったというか。
ブログはリハビリ兼ねて今日から。ジョギングは明日の朝から再スタート。
病み上がりの週末は、部屋の掃除とクルマの契約で終わっちゃいました。

ってことで、カンを取り戻すのは大変。
クラシックバレエの草刈民代さん「一日休むと自分に分かり、二日休むと仲間に分かり、三日休むと観客に分かる」という名語録を残してますけれど、本当にその通り。なにを書いたらよいのか分かりませんもの。 (;´Д`)

で、今日はリハビリを兼ねて、お題は「温故知新」とでもしましょうか。
2年ほど前、ネット上で「ウホッ!!」が再発見されて密かなブームになったことがありましたけれど、現在の視点から古典マンガを読み返すと、意外なペーソスにツボを突かれてはまってしまう事ってありませんか?
最近読んだ古典マンガで「こりゃいいわ!」とはまったのが、"大和和紀"作の"はいからさんが通る"です。1975年連載開始ということだから相当の古典です。僕がこの作品を知ったのが、たぶん小学生か中学生の頃にTVアニメでやっていたのがきっかけってくらいですから、ほんと古い時代の作品。でも、けっこうおもしろいんですよ。なんというか、少女マンガの源流に近いというか、生物学でいう未分化細胞を見ているみたい。

大和和紀といえば、文句なく大御所少女マンガ家のひとりであり、源氏物語をマンガ化した"あさきゆめみし"ではそれは芸術の域に達したといっても過言じゃないお方。その彼女が32年前に描いた作品は、ほんと、当時の少女マンガのあらゆる要素が詰まっていて、また同年代のマンガ家の影響?がいろいろと出ていておもしろいんだ。

まぁ絵柄はさすがに古いからね。カラーだと"きいちのぬり絵"??とか思っちゃうようなコマもあるんだけれど、いろいろな要素がポロポロ出てきておもしろい。
一応テーマはラブコメ。大正デモクラシーの時代、女性が高等教育を受けるようになったり、あるいは職業婦人が闊歩していた頃。軍人の娘"花村紅緒"に突然許嫁が現れる。伊集院伯爵家のひとり息子"伊集院忍 少尉"……って作中で紅緒は「忍」って名前で呼んでいたことがあっただろうか?肩書きで呼んでると出世すると困ると思うのだが。

で、読み進めていくと、ギャグの落とし込みが手塚治虫の影響を受けているみたい。急に三頭身キャラに変わったり、わけのわかんないギャグキャラクターが乱入したりと「アッチョンプリケ」とかを連想してしまう。

そして濃い男性キャラたち。(w
大和和紀作画のはずなのに、時々"庄司陽子"になったり、"青池保子"になったり。この時代の作家の画風って似通っているんだろうかねぇ。
当時「おてんばムスメ」といえば、なぜか木登りすることになっていた。
なぜ、なぜ木登り?と思うんだが、紅緒もやってる。「あんたは"キャンディ・キャンディ"かよ?」とつっこみを入れつつ、お約束通り、彼女は木から落ちる。


軍帽からあふれるほどの長髪の少尉……ありえん、とか言っちゃダメだ。
「アンソニ~!!」とか言っちゃダメだ。(別にどうでもいいが)
高所から落下してくる少女をがっちりと受け止める感動的なシーンは少女マンガのお約束。飛行石のように反重力コントロールがされていないから、忍くんは大変だっただろう。ちなみにおてんばは「酒乱」であるというのも、当時のお約束ですね。

そして夜。


一転してフリフリのブラウスで許嫁を訪ねる少尉……なぜ?ありえん?とか思っちゃいけない。このあと、この人はロン毛+着物姿で現れたりと、すごいプライ ベートを過ごされるのだ。お家には西洋彫刻が飾ってあったり、巨大なベッドに、召使いもいる。ここはどこ、私はなにを読んでいるの? "竹宮恵子"の世界?とか思っちゃいそう。だから「ジルベ~ル!」とか叫んじゃってもOKOK。伊集院家はギムナジウムの空気が流れているのです。

さて、紅緒の許嫁が忍少尉であることを知り、ショックを受ける学友 環。
忍とデートするはずだったオペラホールから走り去ってしまいます。


「わたくしのデリケートな感受性」って……あんた。。。
ここら辺は"楳図かずお"?とか思っちゃうわけ。"赤んぼう少女"??とかね。
こういう表現って"細川智栄子"あたりが"あこがれ"あたりで使っていた表現だ。あれも相当イッちゃっていておもしろかったよなぁ。
いまだと不安恐怖を表現する時は額に縦線(月影せんせーは常時)が入れられるわけだけど、この当時だと「目がまっちろ」になっちゃうんだ。いいなー、うんうん。ほかのコマだとけっこうな確率で白目ですよ。

読み返してみると、紅緒と少尉のラブラブ時代は全7巻のうち2巻までなんです。その先はシベリア出兵で行方不明になった少尉を捜しに紅緒は大陸へ……って映画"ひまわり""ドクトル・ジバコ"っぽい展開を見せます。お約束の記憶喪失も……。

少尉が不在のあいだ、紅緒に心を寄せる上司現る。


もー、ロン毛過ぎて、髪と吹き出しでコマが埋まってます。。。。
この時代のロン毛って、風が吹いてもびくともしなさそうにセットされてますよね。重たそうとしか思えませぬ。。。

時代設定が大正時代なので、あまり古くさくない。いま読んでも「なかなかうめぇなぁ」と思わせるところが随所にあり、最後はハッピーエンド。少女マンガの王道を経験したくば、一度は手に取ってみたい作品ですね。

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