オペラ座の怪人はすごかった!

晴れ。空気がヒンヤリしている。

すばらしい。
とっても満足。ひどく満足。すてきでした。
噂に違わず"オペラ座の怪人"はすごかった。

も ちろん僕は四季の舞台なんか観ているはずもなく、以前観た映画では、あの印象的なテーマソングは耳にこびりついて離れなかったが、話の筋はさっぱり……と いう体たらくだった。今回は追加エピソードのおかげでかなり見通しがよくなります。アンドリュー・ロイド=ウェバー脚本・音楽・制作という通の方々絶賛の 作品だが、やっぱり「すごかった」。
オープニングのCGの使い方は"ムーラン・ルージュ!"を思い出させた。異形の者達が集う19世紀のパリ。バ ス・ラーマンの映画はセピア色のパリから始まったが、ジョエル・シューマッカーは色を失った冬のパリから始めた。ふーん、なんかリドリー・スコットの世界 だなぁと……最初のオペラは"ハンニバル"だし……と取り留めもないことを連想する。あの当時のパリでは象が流行していたらしい。もちろんハンニバルのア ルプス越えに象がつきものだが、やっぱムーラン・ルージュ!を引きずる。ミュージカルだし。
とにかく制作には金がかかっている。衣装、舞台装置、オペラ座は寓意に満ちた彫刻だらけでその謎解きだけでたっぷり2時間は使えるのでは?というところ。
CGが多用され、過去と現在を自由に行き来する。舞台転換の際には効果的な演出だった。ゴシックホラーにぴったりな地下構造物が現れて、愛の告白がされたあとは一気に悲劇に向かってなだれ込んでゆく。

ちょっ と考えてみると、贅沢な映画だ。場所はオペラ座でしょう?豪華な舞台設備、華麗な衣装、才能あふれるダンサー達、軽やかな身体の運び、オペラ、贅沢なサウ ンドをつけたホラーベースのラブストーリーでしょう?ミュージカルに「乗れる」人にとっては最高に楽しめる映画だと思う。

ヒロインのクリ スティンが「人々がおそれるのは醜い顔ではなくて、ゆがんだあなたの魂だ」のようなことを怪人に向かって告げるシーンがあった。ちょっとつらいな。生まれ つき邪悪な魂ってのはあると思う。だが、幼少期に虐待されて育った孤独な男に、健全なそれを求めるのは厳しすぎやしないか?クリスティンが添い遂げて、怪 人の魂も癒されましたってオチにはならないんだし。"美女と野獣"だったら、野獣は最後に美しい王子様に戻ってハッピーエンドなのにさ。
って、クリスティンの同期の女の子が、みょうに怪人の存在に関心を示していて、最後は怪人の住む地下迷宮にまで降りてくる。残された仮面を手にとるその姿に「ひょっとして彼女?」と淡い期待をしたが、すべては謎のままだ。

僕はきっとDVDを買うでしょう。

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