まつざき荘で朝食を食べたあと、近くのガソリンスタンドで洗車を頼む。
車体が潮風に当たっていたこともあるけれど、車内清掃も合わせて頼んで約30分、とりとめのない話をして過ごす。旅行先のこうした待ち時間は大好きなんだ。
松崎を出て、最初に立ち寄ったのが黄金崎。
ここから富士山がよく見える。
三島由紀夫文学碑がある。
「獣の戯れ」の一節が刻まれている。
「船首の左に、黄金崎の代赫いろの裸の断崖が見えはじめた。沖天の日光が断崖の真上からなだれ落ち、こまかい起伏は光りにことごとくまぶされて、平滑な一枚の黄金の板のように見える。断崖の下の海は殊に碧い。異様な鋭い形の岩が身をすり合わせてそそり立ち、そのぐるりにふくらんで迫り上った水が、岩の角角から白い千筋の糸になって流れ落ちた。」
三島由紀夫の情景描写力は、文字で書かれていた物が、実際に眼前にあることでいつも驚かされる。あれこそが天才の仕事なんだろうね。
馬ロックという岩がある。
本当に、馬なのだ。
夕陽に照らされると、三島由紀夫の表現通りの光景が広がるのだそうだ。
ここからも富士山がよく見える。
土肥では花時計と、金山に立ち寄る。
金粉の浮いたアイスコーヒーを飲むと、運が付くとか付かないとか。
西伊豆と言えば、ゲイな僕らにはドラマ「同窓会」でなじみ深い。
西村和彦と山口達也のゲイカップルがいちゃこきデートをする。
その時に恋人岬と、土肥の花時計が登場する。
このデートのあとで、山口達也は殺されてしまう。
悲劇的なエンディング直前のエピソードだったから、よく覚えている。
土肥からはフェリーで清水港を目指すといい。
僕らもスカイラインを積み込んで、約1時間のクルージングを楽しむ。
駿河湾上を移動している間、ずっと富士山を眺めていた。
僕流の伊豆の楽しみ方はこんな感じ。
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