というのは半分冗談だけど、新宿7:00発のあずさ1号がこんなに混雑しているとは思いもしなかった。
指定席はもちろんあるのだけれど、窓際が満席になっている率高し。
前夜、彼氏のホテルに泊めてもらい、海鮮居酒屋とゲイバーを楽しんだ。
彼氏が選んでくれるワインはアルコールを摂取した気だるさはあるものの、二日酔いになりにくい。
彼氏の笑顔に見送られて、僕は新宿駅を目指す。
あずさ1号は6:45に入線する。
ホーム上に放置されているのは僕の荷物だ。
出発までの15分間に駅弁を食べてしまうのがいつもの習わし。
やることがない、腹は減っているわけで。
彼氏と探してありつけなかった筍ご飯のお弁当。
指定席はかなり埋まっていた。
タイ人率が高くて、彼らはそろって大月駅で下車する。
きっと新倉山浅間神社と河口湖を目指すのだろう。
富士急は沿線に桜の古木が結構あって、はらはらと桜が散る様はとても美しかった。
外国人が楽しんでくれると良いなあと思いつつ、僕は北上を続ける。
3月初めの頃と違って、窓の外の景色は春めいていた。
南アルプス連峰も冬の厳しさを感じさせない。
桜に限って言えば、甲府駅辺りはすでに葉桜になっていたほど。
3泊の仕事初日はあっという間に終わってしまい、僕は早々にホテルに戻ってきた。
荷物を部屋に置いて、駅周辺をブラブラと散歩した。
ここはちょうど桜が満開だった。
3月がやたらに忙しかった(19営業日中13日出張していた)。
また、咳喘息になっていたりでゆっくり桜を眺める機会がなかった。
車窓から、山の中腹にポツポツと白く咲く山桜を「咲いてるなぁ……」と見送っただけ。
顔が埋もれるほどの桜を間近で眺めたのは今年初めてで、最後の機会だった。
iPhoneで写真を撮りながら、少し遠くまで歩いてみた。
夕日に染まる町を当てもなく歩く楽しさと心細さをしばらく忘れていた。
自由なんだけど、心細い。
自分が見ている二度と同じものはない景色、そして空気感が、永遠の中の一瞬ような気がして、胸が締め付けられる。
すべてが愛おしいような、そしてなにか根源的なところから湧いてくる寂しさがせめぎ合い、それをどう理解したら良いのか分からなくなった僕は、山の稜線に隠れようとしている夕日を黙って眺めていた。
翌日からは同僚を迎えての仕事。
朝食は駅蕎麦と焼きおにぎり。
昼はハルピンラーメンと唐揚げ。
「痩せる要素がどっこにも見当たらん!」とゲラゲラ笑いながらテーブルを囲む。
仕事が終わった後は焼き鳥屋で話し込む。
楽しかったなぁ。
仕事が始まった頃は精神的、体力的に追い込まれていて、楽しんでいる余裕なかった。
いまになって、終わるのが惜しいなあ、ずっとこの人たちと仕事していたいなあと思うようになった。
この仕事もゴールが見え始めていて、それが寂しさの原因の一つなんだろうけどね。
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