BL漫画レビュー:大槻ミゥ『運命の男』

小説好きな人なら山崎豊子の遺作を連想させるこのタイトル。
恋のお相手は「運命の人」なのか!?

カフェオーナー・ロミオは大の女好き。
そんな彼がゲイバーで出会った浅彦に一目惚れしてしまう。
その夜、激しく燃え上がったふたりはセックスの相性もバッチリ♥
だけど浅彦にはヒミツの性癖があるようで?

主人公の名前が「ロミオ」という時点で、本を投げ捨てたくなる衝動にかられる。(w

まあそれはさておき、大槻ミゥ作品の登場人物は、いつも秘密を抱いている。

「愛しいカラダ」のときは、「パイパンでもいいじゃん どんなお前でも愛しいよ」で盛大に吹き出した。
運命の男が隠し持っていた秘密とは……



ただ…
し…しゅみ…って言うか…

アナニーが……すきなのっ

あーあーあー、今回も業が深いな大槻ミゥセンセイ。


その後の浅彦の告白によると、女の子と初体験で苦い思い出があって、一人Hがだんだんエスカレートしてアナニーにはまったと。浅彦自身はゲイではないけれど、「道具で気持ちいいんだし実際どうだろう」って思ってゲイバーで相手を探していたという。

なるほどなあ……。

とある掲示板で、SM嬢に掘られているうちに本物が欲しくなってしまった男たちの書き込みを読んだことがある。初めは痛みと屈辱に震えていたM男が、抱くより抱かれる側の気持ち良さと、身体をこじ開けられる刺激を知るようになって、本物が欲しくなってゲイのハッテン場に出入りするようになる。抱かれている間は女性の感覚になり、自分の上で必死に腰振る男が愛おしく見えてくる。セックスが終わった後、嫌悪感に沈む人と、抱かれる感覚でより女性方面へ行ってしまう人がいるようで、その戸惑いを赤裸々に語るM男たちの告白は実に興味深かった(湯川教授風に)。

幅広いボーイズラブの世界は、基本、恋愛至上主義なんだと思う。
それはボーイズラブの源流が少女漫画にあることと無関係じゃない。
「運命の男」のように、超女好きのロミオと、アナニーマニアのノンケ浅彦の出会いのように、体から始まって恋人関係になるというパターンはやや少数派。だが、こういうパターンもたまにはいいと思う。

1.絵柄
フワッとした感じの浅彦キャラクターデザインは、大槻ミゥの定番。アパレル業界や美容師にいるようなやや中性的な造形だが、大槻ミゥの場合は脱ぐとエロくて淫乱なのがよろしい。
ロミオは口ひげのあるカフェオーナー。髭は苦手だ〜。

2.ストーリー
あらすじに書いたとおり。それ以上でもそれ以下でもなし。
大槻ミゥ作品の登場人物は、マニアックな性癖を抱えているケースが少なくなくて、それが解放されてゆく様を眺めているのは、子供の成長を見守っているようだ。もっと業の深い設定に期待したい。

3.エロ度
アナニー好きを拗らせて本物が欲しくなってしまった男たちの告白があるくらいだから、浅彦みたいなノンケも存在するのだろう。美青年のアナニーをかぶりつきで見学は美味しいかも。

4.まとめ
可愛らしい顔して特殊性癖の持ち主……大槻ミゥ先生には業の深堀を追求して行ってもらいたい。

絵柄 :★★★★☆
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★★★☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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