日中はそれほど街中でGayを見かけることはなかった……気がする。ニューハーフの人たちとたくさんすれ違っていたのだろうが、あまりに自然に溶け込んでいるので旅行者の目からは判別がつかなかった。
だが、日が落ちて、街のあちらこちらでネオンサインが瞬き始めると、バンコクの闇からは怪しい艶やかさが流れ出してくる。心持ち、空気の湿り気が増してきたような気がする。プルマンバンコクホテルGを出て、シーロム通りを15分くらい歩く。歩道の両側に露天商が立ち並ぶ。明るいライトの下に衣類、小物、鞄類、CDや絵画などが並べられている。その狭くなった道を、観光客らが身体を斜めに傾けながらすり抜けてゆく。
パッポン通りの入り口は露天商に視界をふさがれていて、通り過ぎてしまいそうになった。その小路を分け入ってゆくと、毒々しいネオンと重低音の効いたサウンドが溢れ、女たちがゆるゆると悩ましく腰を振っている。「ここが悪名高いパッポンかぁ~」ときょろきょろしながら僕らは歩く。パッポンは主にGOGO Lady(ただし生粋の女性かどうかはわからない)のエリア。僕らの目的地はもう少し先だ。
なぜJupiter 2002かって?
バンコクで最もかっこいい系のGOGO Boyたちがいる店だと言われているからだ。
細い小路の先にJupiter 2002はあった。日曜日の晩、観客席は男たちでごった返していて、ステージの上にはパンツ一枚の細マッチョたちがゆらゆらと身体を揺らしていた。みんな見事に大胸筋を鍛え上げてあって、そのたくましい胸から続くシックスパックの腹筋が悩ましく影を作っている。Boyたちは中華系の白い肌の持ち主で、タイ特有の濃いブラウンの肌をもつ人はいなかった。一瞬香港か台北にでも来ているような錯覚に陥る。
お客たちはビールを形手にBoysたちを品定めして、気に入った青年がいたら店からオフする。もちろんSexありで。アルコールを片手に乱舞する肉体の品定めをする客たちの熱気と、カネで身体を売る美青年たちという倒錯した空間で、だんだん感覚が麻痺してゆく。僕と彼氏もステージ上のBoyの品定めをしながらアルコールを啜る。ワンナイトラバーを買うわけでもないが、買うつもりだったらどの子がいいかと品定めを始めると、二人の意見がそれぞれ違っていたりしてなかなかおもしろかった。
Jupiter 2002は店内撮影禁止。
なので、まあイメージで言うと、Boyたちはこんな感じかな。
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