あのスッキリとシンプルで美しい造形は、ただ静かに眺めていたいと思う。
ベッドから這い出して遮光カーテンを押し開くと、絵に描いたような富士山が聳えていた。
黒いシルエットの富士山と、空を包む鱗雲が秋の始まりを告げている。
僕らは露天風呂に浸かりながら、河口湖を渡ってくる風に吹かれながら富士山を眺めていた。
ご飯を食べながら、今日一日の行動について彼氏と相談する。
彼氏は富士山五合目に行ったことがないというので、それじゃ行こうよ!となった。
僕にとっては富士山登山以来となる。
KUKUNAのワゴン車で河口湖駅まで送ってもらった。
ここから1時間に1本出ているバスを待つ。
駅前は外国人観光客でごった返している。
僕らがバスストップで待っていると、タイ人やら中国人やら、あと少しの欧米人が列を作る。
10月だというのに日差しが強かった。腕まくりをしたくらい。
駅舎越しに富士山が顔を出している。
河口湖駅から富士山五合目までの移動時間は約1時間。
地上ではほとんど色づいていない木々が、3合目、4合目と高度を上げて行くに従って急速に色づいて行く。タイ人たちのテンションが高い。スマホで動画を撮り続けている彼らを見ていて、そうか、タイでは紅葉が見られないのかと気づいた。バスの窓には、青空をバックに富士山頂がくっきりと移っている。
五合目に到着すると、地上に比べて約10℃低い外気に震えた。
確か、15分前にくっきりと見えていた富士山頂は、五合目に到着したときは雲に覆われていた。
五合目は外国人観光客でごった返していて、日本人の方がマイノリティという状況。
彼氏と土産物屋をふらふらする。
こけもものソフトクリームを食べ、名物らしい「噴火カレー」でランチする。
山頂が見えないどころか、十数メートル先も見えなくなった。
雲上閣前のバスストップから振り向くと、数分前までいた場所は雲にかき消され、白く塗りつぶされた世界はまるで夢の中にいるようだった。
地上に戻ってきて、新宿に戻るバスを待つ間、僕らは駅舎の中にあるカフェでお茶をした。
窓の外は曇天の空が広がっていて、その中に富士山が存在しているとは思えないほど。
なんだか夢みたいだねと彼氏と語りあった。
次の旅行は彼氏の誕生日月の1月。
さて、どんなサプライズを用意できるかな!?
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