フランス旅行記(2015年) アヴィニョンの祝祭

アヴィニョンと言えば、世界史の教科書で何回か目にする、遠い場所の、憧れの街。
憧れの街といっても、ほとんどの日本人には縁のない場所であるのだが。

カソリックの歴史にはアヴィニョン捕囚から大分裂時代があって、日本で言えば鎌倉と室町の間の南北朝時代を連想させるような時期がある。ローマの華麗なバチカンよりも前の、中世の教皇庁とはどんなものなのだろう……という僕らのロマンを吹っ飛ばす7月5日。普段は静かな古都に人が集まり、一ヶ月間の国際演劇祭が始まるのだ。

アヴィニョン中央駅から教皇庁までは、直線距離で600〜800mほど。古い時代の城壁を貫く直線道路のその奥にはプラタナスの並木道が見える。その奥の方にみっちりと人が集まっているようだ。そもそも駅前のガードレールに演劇のポスターやフライヤーがぶら下げられていて、猥雑だが華やかな雰囲気を醸し出している。


この時期は教皇庁の中も仮設ステージが設けられ、演劇の公演があるという。
教皇庁を出たあと、サン・ベネゼ橋を眺め、夜はハンバーガーを食べながら、僕らは祝祭空間に身を浸した。

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