観光客の数は減ってきたけれど、夕陽に染まるモン・サン=ミッシェル全景を撮影するにはまだ日が高すぎる。二人ともワインで酔っ払ってしまい、いったん部屋に引き上げた。そしてベッドに沈没。ふたたび目を覚ましたのは22時をずいぶん過ぎた頃だった。やや寝ぼけ気味の彼氏をたたき起こして、カメラを持って島を出る。海に向かってハイビームを浴びせかけている車があった。その光の先にはザン、ザザンと激しい音を立てて押し寄せる海水があって、日中人が歩いていた干潟が水没している。島と対岸を結ぶ道を冷たい強風が嬲っていた。カメラを構えてもピントの合わない写真が量産されるばかりだった。
グランド・リュに戻ると、あれだけ激しく吹いていた外の風が嘘のように穏やかだった。観光客が去ったモン・サン=ミッシェルにステイする人だけが目にする光景が広がっている。
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