BL漫画レビュー:市花マツビ『ミルクがでちゃう』

や、本当は「テンカウント3」をもっとまじめに書評しようと思っていたんだ。
だがしかし、「テンカウント3」の隣に平積みされている乳首にバンドエイドを張った男子の「ミルクがでちゃう」の破壊力が凄まじすぎた。突如世間に浮上した、腐海中の腐海ジャンルである雄っぱいミルクBLについて、熱くお知らせしたい。

俺の雄っぱいには秘密がある
幼馴染みのふたりが"ミルク"きっかけで一線を越えてしまう…!

家族にも誰にも言えないその秘密を、俺・悠希はずっとひた隠しにしてきたのに、幼馴染みの斗真に知られてしまった…!興味津々の斗真にせがまれて、しぶしぶ母乳(父乳?)を絞り出してお披露目することに。
調子にのった彼は「どんな味してんの?」といきなりベッドに押し倒し、そのまま俺の乳首に吸い付いてきた!
しかも「めちゃくちゃ美味い!やみつきになりそう…」とうっとり呟いてー…。

乳首の秘密と嘘から始まるエロティック萌えLOVEストーリー。

たっぷり乳首を攻めちゃいます(ハート)
搾乳・乳バン・濡れヌレのオンパレード!!


お、おう……
すげーのが来たな  (゚_゚i)タラー・・・

まあ、どういう話かと言えば、この見開きですべて終了。
のっけからクライマックス、いきなり出オチではある。



なんだこの破壊力、そしてくだらなさ(w

雄っぱいという言葉がいつ頃、誰が生み出したのか僕は知らない。
ただここ2~3年位前から突如ブレイクしたことは知っている。

思い起こしてみれば、この世界は常に発見の連続だった。大昔、風の木の詩が発表された頃に「やおい穴」という謎の穴の概念が生まれた。そのあと、大きな動きはなかったが、最近は立て続けに「雄っぱい」だの「妊夫」だの「Ωバース」だのが提唱された。「雄っぱい」は同人業界で言えば「バラ系」という、ホモ絵の系統から生じたものだったように思う。

ゲイマンガでは、大胸筋が異常に発達した男性を登場させることがよくある。ゲイマンガの文脈だと、発達した大胸筋は見栄えが良く、体力があることの証だ。亀仙人の「おっぱいぱふぱふ」みたいなファンタジーもままあったけれど、それ以上に体力があること=激しいセックスが期待できると言った文脈でのセックスアピールだった。確かに男でもエロイ乳首はエロイ。だがしかし、ゲイマンガの世界では、田亀センセイのSM系作品でもない限り乳首フェチがテーマになるような作品は存在していなかったと思う。

一方、BL同人誌の世界では徐々に「雄っぱい」というジャンルが確立していった。キャプテン・アメリカなどのアメコミ系の世界の他、Free!の橘真琴や山崎宗介、黒子のバスケでは火神大我、マギのシンドバッド、その他トリコなどが「雄っぱいキャラ」として登場する。豊かな胸の谷間を活用するほか、乳首を使って色々と……という具合に。
実際のところBL同人の世界では、乳首を描写する作家としない作家がいる。乳首を描写する作品の方が概してエロ度は高い。というか、乳首を「使える」作家は、そうじゃない作家に比べてよりセックスに対する理解が深いような気がする。乳首を性器と見立てられるかどうかによって、作家のセックスへの執着が測れるような感じもする。

で、雄っぱいの世界が確立して行く中で、さらに異端のジャンルが生じる。それが「雄っぱいミルク」だった。一部の好事家にひっそりと支えられていたそれは、なんでもありのBL界でも「さすがにそれはねーだろ!?」というマニアックさ。Ωバースと合わせ技をかませば、ちっぱいの女(ちんこオプション付き)そのものだから。疑似女性をBLに登場させて良いのかどうかという神学論争に発展しそうだ。
ゲイマンガでは、男らしさが追求されるのだから乳首から母乳が出てくるなんてのは病気以外何物でもない。だからゲイマンガの世界では成立しない。
BLではどうかと言えば、さすがに……BL作家で出産経験があって母乳がダラダラ出たなんて経験した人はあまりいないだろ?読者も将来出産する機会がある人ならばともかく、喪女には縁のない話。その縁のないファンタジーをBLに持ち込んで、これまた病気でもなければ出ることのない男子の乳首から噴乳させるってのは、BLファンタジーの中でもかなり突き抜けているニッチな世界なのだと思う。男性の中に母性を埋め込む仕掛け、なのか??

で、そのニッチなジャンルの作品が、テンカウント3の横に積まれていて度肝を抜かれた金曜日。ついにその日が来てしまったのか。BL書評書いている限り避けては通れない使命感を感じて、レジに向かったのさー。

幼馴染み斗真に母乳を吸われて、その快感に目覚めてしまった悠希。


その後、温泉旅館で激しく絡むふたり。



BLに限らず男性の乳首開発が密かに流行っているという話も聞くので、今後乳首責めのBL本が増えてくるのかもしれない。だが、さらにニッチな雄っぱいミルクがジャンルとして市民権を得るのかどうか、生暖かく見守りたいと思う。

1.絵柄
ガチムチ男の乳首から憤乳ではない。良かった(w

2.ストーリー
雄っぱいミルクに始まり雄っぱいミルクに終わる。
雄っぱいミルクは甘いらしい。
途中で雄っぱいミルクが出なくなって悩む悠希に萌える。

3.エロ度
ニッチなジャンルでエロエロだと思う。
ペニスはこすらにゃ射精はしないが、雄っぱいミルクは乳首をつまむだけでピュッだよ。乳首責めを貫いている姿勢はいっそ清々しい。

4.まとめ
雄っぱいミルクは、要は男性の乳首を性器に見立てるか否かの試金石なのかもしれない。もし男性の乳首が性器なのだとしたら、女性と同じく水着を着る時にゃブラジャーが必要となる。だって性器を曝しちゃ問題だろ?ジャニーズのセミヌードが見れなくなるほか、歪んだフェミニストのメシの種になりそうな危うさも少し。
宝井理人も乳首をこだわって描いているそうだから、BL業界でも男の乳首が再発見され、乳首ブームが来るのかもしれない。それでも雄っぱいミルクは異端なんだろうな。(w

絵柄 :★★★☆☆
ストーリー:★★☆☆☆
エロ度 :★★★★★
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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