おわら風の盆 (6) - 戸隠高原とおわら風の盆

17:00でいったん昼の踊りは終わって、2時間の休憩に入る。
この頃には八尾の町には観光客が次々押し寄せ、15時の頃にはゆっくり眺めていられた輪踊りも見物人が十重二十重に重なり合って、人の頭の向こうに踊り手の笠が見えるだけ、といった状態になった。

露天商、食べ物屋が立ち上がり、牛串、焼きそばを焼く匂いが通りに満ちてくる。
僕らは19時から始まる演舞場指定席を持っていて、お弁当を買って席で食べていた。
小学校の入り口で、再入場はできないと伝えている少女が「中の売店はしょぼいです」と教えてくれた。万が一のことを考えると外で調達していく方が安全だ。

明るかった八尾の町に陽が落ちて、演舞場の上空には半月のぶら下がっている。
虫の音が異様に大きくて、夏の終わり、台風の季節を思わせる。

おわら保存会会長の挨拶の後、各町ごとの踊りが披露される。
男踊りがやっぱり格好良くて、しかも「四季のポーズ」は月影ベイベじゃわからなかったところ。踊り手がひとりずつポーズを変えて、順々に動きを止めて行く様は胸躍らされる。静止状態がつらくなると身体がぐらつくことがある。「がんばれー」という応援が各所で上がるのもまたほほえましかった。

この調子で夜の部も堪能したかったが、父親の限界が来た。
20時、「そろそろ帰りたい」と言う。
心残りだったが、会場を出るとすぐ近くにタクシー乗り場がある。

タクシーに乗ってクルマを止めさせてもらった八尾総合病院をめざした。
駐車場の周囲には路上駐車、空きスペースを探すクルマで溢れていた。
スポーツアリーナから八尾町に向かうシャトルバスは、乗車までに1時間待ちという混雑ぶりだそうだ。ドーミーインをめざしてスカイラインを運転しながら「凄くよかったけれど、なかなかキツかったなあ」と思わず漏らした。

翌日は自宅に向けて450kmのロングドライブ。
普段だったら200km過ぎで1回休憩する位だが、今回は5回も休憩を入れた。とにかく眠くて。

幻想的で、官能的で、また行きたくなるすばらしい祭りだけれど、肉体的にもなかなかキツかったおわら風の盆。

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