名作『どうしても触れたくない』のスピンオフ作品。
先に結論を言うと、僕はこの作品に出逢えてとても幸せでした!
出口晴海が好きになったのは、小野田良。
三歳年下のストレート。
気がつくと、好きになっていた。
友達でいい。
そう思っていたのに、どんどん好きになっていった。
素直になれなくて、
不安になって、
ささいなことに幸せを感じて、
言えない言葉がたくさんたまっていって……
誰かを好きになる切なさと幸せがここに。
『どうしても触れたくない』で、外川さんと嶋くんの同僚として登場していた小野田。前作では嶋くんに優しく接する、外川さんとは別な意味で魅力のあるサブキャラという認識でいたんだが、実は小野田、嶋くんの事が好きだったという衝撃の事実からスタート。これにはちょっと驚いたね。
で、今回のお姫様は出口晴海。ゲイとしてそれなりにもてて、セックスする相手にも不自由していなくて、ゲイバーでは勝ち組。昼間の姿はやり手営業マンでもある。そんな自信満々だった彼が、鈍感な小野田に告白するためにそわそわし、告白はかっこ悪い散々なものになってしまい、しかも返事をもらえるまでに告白した事を吐くほど悩み、そして嶋くんに嫉妬して喧嘩になる。そういうギャップ、出口晴海のかっこいいけどかわいい男という性格付けが、この作品の一番美味しいところだろう。
「……俺
基本気は長い方なんだけどこういうのダメなんだ…。
だから…
早めに…
良い答え出して
マジで俺…
心臓もたねえから…っ」
ヨネダコウ、こういうセリフの作り方が上手いなあと思う。
モテモテ、ビッチ系の男がこんな風に告ってきたら、そりゃくらっとなるでしょうよ。
出口さん、健気だよ。
出口晴海はその恵まれた容姿から、告られる経験は山ほどあったのだろうけど、自分からアプローチする経験はあまりなかったんだろうな。
腐女子にはあまり解ってもらえないと思うんだけど。
出口晴海は果たしてビッチなのか?ってこと。
ゲイの世界で並以上の容姿をもって生まれてくれば、好意もセックスも持てあますほど手に入る。せっかく貰える好意なのだから、それを食い散らかすのは別に悪い事だとは思われていない。真実の愛なのか、運命の出会いなのかはさておき。だから、BLの世界で出口晴海のような設定のキャラに対して腐女子から「享楽的なゲイ」と言われると、僕自身は少し違和感を感じる。作品の中で出口晴海も反発してる。でも、その件で小野田と揉めてるけどな。
1.絵柄
『どうしても触れたくない』と自然に融合していて好感。小野田はわりとどうでも良くって、お姫様出口晴海の表情がとても良い。緊張してる顔、上目遣いの顔、ゲイバーでどや顔の顔、甘えている顔、こんなにクルクル変わる表情を描ける作家はすごいと思う。
2.ストーリー
ヨネダコウは「特別なことは何もないですが読んだら少しだけ幸せになれる本を目指しました」と言っているけれど、それってすごく王道だと思う。だって、恋したらすべてが特別な事になる、世界が特別な事になる、そういうことでしょう?
サラリーマン二人が、仕事したり、一緒にスポーツバーで飲んだり、ランチしたり、そういう積み重ねの中で、ある瞬間相手の事が好きになる。丁寧なストーリー展開は名作の定石だと思う。
3.エロ度
量は少ないけど、出口さん、ビッチなわんわんお!
4.まとめ
僕はこの作品に出逢えて幸せでした。ヨネダコウ作品で一番肌触りが良い。表紙も美しいしね。絶対に買いでしょう。
絵柄 :★★★★★
ストーリー:★★★★★
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)
同感です。出口さんはビッチだとは思いません。わたしにとってビッチとは、付き合っている相手がいるのに、自分は一筋だよと嘘付いて、浮気をする人です・・・出口さんは付き合っている相手がいなかったので、そういうことをするのは別に悪くないと思います(もし出口さんは女性だとしても)。純情でかわいいと思います。
返信削除私もこの漫画に出逢えて幸せです(*´∇`*)
コメントありがとうございます。
削除出口晴海はビッチじゃないですよね。(^^)
だけど、たぶん、女性はいやがるんでしょうね、こういうアクティブな人は。
感性の違いなんでしょうが、ちょっとおもしろいと思ってます。