2013年バンコク紀行 (4)

GEDHAWA THAI RESTAURANT を出て、駅前のショッピングモールにあるフードコートで僕たちはしばらくおしゃべりに興じた。僕たちトラベラーにとって、バンコクに根を下ろした人の苦労話はリアリティがあっておもしろい。彼氏の同僚さん視点では、バンコクには風俗以外の娯楽が少ないことがやや不満らしい。まあ日本みたいに四季がはっきりしているわけでもないし、季節感を楽しむとかってのは難しいんだろうな。

窓の外は黒雲が広がり始めた。ダウンバーストとまでは言わないが、気温もやや下がってきた。スコールが近いのかもしれない。駅で彼女と別れ、僕らはスカイトレインに乗ってサラディーンに移動した。シーロム通りに面してタイ式マッサージの店が軒を連ねている一角。タイ古式マッサージが1時間250バーツ。2時間500バーツで施術を受けられる。チップを入れてもHEALTH LAND よりも安い。

タイ古式マッサージは、整体に近い。上下パジャマのような服に着替えて、あとは揉まれたり、押されたり、捻られたりといろいろ。僕は腕を頭の後ろに組まされてバックドロップというか、エビ反りみたいにされるのが結構苦手。いまは亡きレスリー・チェンのようなマッサージ師に2時間黙々とマッサージされる。やっぱり指の力が強いから、マッサージ師は女性よりは男性の方が効いているような気がする。SPAだったら、繊細な女性の技に期待したいところだが。

パーティションで区切られた薄暗い小部屋で身体を揉まれていると、激しい爆音が頭上から響いてくる。それはスレート葺きの店舗を叩く激しいスコールだった。マッサージを終えて彼氏と店を出ると、街は雨に洗われている。幸いサラディーン駅への階段は目の前だった。傘を広げず階段に駆け込んだ。

Eastin Grand Hotel Sathorn の部屋に戻り、しばらくベッドにひっくり返って昼寝する。窓の外はスコールの余韻に包まれている。





Eastin Grand Hotel Sathorn のクラブルームのカルテルタイムは、17:00からスタートする。その時間に合わせて僕らは移動。白ワインを注文してから、スナックカウンターへ向かう。軽食とはいえ、アルコールを飲みながら何皿か楽しんでいると、もう晩ご飯を食べるお腹の余裕などなくなってしまう。スナックカウンターの盛りつけにはセンスを感じた。












下界を見下ろすと、バンコク名物の帰宅ラッシュで、大渋滞が長い帯になって続いている。市内中心部から郊外へ、そして郊外から市内中心部へ向かうクルマのいずれも。バンコク中心部の移動は、やっぱりスカイトレインが一番確実だ。

カクテルタイムを楽しんだあと、僕らはソイ・トワイライトへ繰り出した。サラディーン駅からパッポン通りを抜けると、怪しいネオンサインの煌めく退廃の小路が口を開けている。

まずは Jupoter2002 でキレイな男たちを眺めようと思った……うーん、すでに21時を廻っているのにいまだショーのリハーサルをやっているってどうなの?? 店内はガラガラで、冷やかしに来たファラン共もさっさと帰って行ってしまう。この店ってどうなんだろう……僕らも一杯飲んで退散した。もっと楽しみたかったのにな。

そして、禁断の Dream Boys ……えげつないショーが見られることを期待して入店。こちらはそこそこ客がいて、ショー開始時間が近づくとどんどん客が入ってきた。ステージの上には白いビキニを着けた青年たちが、音楽に合わせてゆらゆらと身体を揺すっている。気に入った子がいたら指名して、店外にお持ち出し可能。GOGO BAR ってのはそういう場所なのだ。ただまあ、あまりアピってる子はいなくて、割と静かな雰囲気。

「写真は撮るな!」というしつこいアナウンスのあと、ショーの幕が上がる。ムキムキマッチョの三連結でも見れるのかしらんと期待していたら、なんか、ドラァグクイーンというか女装がぞろぞろ出てきたぞ、おい。しかもピロッとスカートをたくし上げると、ラテックスを被せられてテカテカにひかる作り物…肉屋の店先にぶら下がっているドライソーセージのような一物がでろーんとご開帳。うーむ、、、、激しく萎える二人。僕らは女装には興味ないんだってば。

そんなこんなで、激しく脱力して、僕らはソイ・トワイライトをあとにしたのだった。

彼氏がトイレに席を立っている間、Dream Boys のスタッフがBoyの売り込みに来た。「気に入った子いた? 連れ出しできるからね」と言う。彼氏と来ているから断ったら、「えっ?気に入った子いないの?こんなにたくさん男の子がいるのに??」「うん」と僕が肩をすくめると、スタッフは天井を仰いで「本当に誰もいないっての!?」と叫んだ。口調はもちろん超オネエ。自称"No. 1 go-go bar in the wolrd"の店で、タイプの子が誰もいないと言うのはちょっと失礼だったかもしれない。ごめん、飲みだけの冷やかしで。

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