先月の関西旅行。ひさしぶりの再会。

新大阪から岡山へ向かう元同僚を見送った。
JR大阪駅の改札。
乗降客たちでごった返す階段を上って行く彼女に、姿の見えるあいだ手を振った。
彼女と会うのは、たぶん10年ぶりだった。

ヒルトン大阪を横目に、僕は雨上がりの四つ橋筋を歩き出した。
雨上がりの湿り気が、乾いた空気を柔らかくしていた。
桜橋交差点を抜け、堂島アバンザビルを横目に、僕は歩く。
阪神高速道路をくぐった先には、朝日新聞のマークをつけた中之島フェスティバルタワーの偉容が目に飛び込んでくる。それにしても、関西人はフェスティバルという言葉が好きな人々なんだな。ハレの日、お祭り気分が大事のようだ。

僕は堂島川に沿って作られた遊歩道を歩く。
空はレフ板を当てたような白い雲に覆われていて、しかし春を感じさせる暖かさだった。

それにしても、今回の関西旅行は誤算続きだった。
勢いで予約した圓照寺を参拝するツアーをキャンセルしたあと、僕は関西に行く理由を見失っていた。元同僚に送ったメールは1ヶ月以上も反応なし。宿泊予定の奈良ホテルも取りやめたあと、僕は五日間の休暇を持てあましていた。いっそのこと台北にでも飛んでしまおうかとか、とりとめもない想いがグルグルまわる。

その元同僚から返事があったのは、休暇の10日前。
慌ててホテルに予約をかけたものの、気に入ったものがない。初めてAPAホテルというビジネスホテルと、リーガロイヤルホテルの二カ所に滞在することになった。
そして、関西旅行は元同僚に会うことだけにした。
他には一切予定を持たない。

十年ぶりに会った元同僚たちは、やっぱりお互い老けたなあ~と笑い合うことになった。阪急梅田駅近くのNEKOというカフェでランチを摂り、そのあと阪急インターナショナルホテルのラウンジでアフタヌーンティをしながらおしゃべりを楽しんだ。日が暮れる前に彼らと別れて、僕は西梅田駅から地下鉄に乗ってホテルに戻った。

大阪に出かけたならば、ちょっと堂山あたりのゲイバーを流してみたいもの。だけど今回、僕はとても疲れていたんだ。元同僚とおしゃべりに興じている間も空咳が止まらなくて、これはストレスから来るものな事はわかっていた。元同僚たちと分かれてホテルに戻ってきて、でも大阪らしい晩ご飯を探しに行く気力もなく、フロントでもらった"金麦"の無料引換券を持って近所のセブンイレブンへ。おにぎりと簡単な総菜を金麦で流し込んでおしまい。APAホテルの部屋は正直狭かったけれど、最低限必要なものはすべて揃っていて不満はない。バスタブにお湯を張って身体を温めて、早めに就寝。

翌日は、昨日の元同僚と梅田で待ち合わせ。
せめて粉ものは食べて帰りたいというリクエストでお好み焼きを食べ、彼女を大阪駅の改札まで見送ってから、僕はリーガロイヤルホテルまでふらふらと散歩した。中之島は高村薫の"黄金を抱いて飛べ"の舞台になった土地で、その雰囲気を楽しんだ。

リーガロイヤルホテルは、ナチュラルコンフォートフロアにアップグレードされた。前日の倍くらい広い部屋を独り占め。一人で泊まるには本当にもったいない。堂島川の向こうのビル街を眺めながら、早々に就寝。




こうして、大阪二泊三日の旅行は終わった。
帰り道、比叡山に登ってみようと京都で途中下車してみた。観光案内所で行き方を尋ねると京都側からは登れないそう。冬のシーズンは滋賀県側からアプローチするものなのだそうだ。知らなかった。

朝ご飯を食べたくも、駅前の飲食店は軒並み準備中。
マックでバーガーに食らいついていると、さらさらと風花が舞った。
雪の京都、すてきだなあ。
でも、風花の中を寺社参詣も気乗りがしないや。

駅前のお土産屋で、阿闍梨餅、夕子、赤福、551蓬莱を買い込んで、お昼前の新幹線でそのまま東京へ向かった。

新幹線の中でぐっすり眠り込んでいたら、「ただいま進行方向左側に、富士山の全景をご覧いただけます。旅の記念に是非ご覧ください」というアナウンスに起こされた。元々静かな新幹線車内に、さらに厳粛な空気が漂って、カメラのシャッターを切る音だけが響く。日本人は本当に富士山が好きなんだな、その威容を眺めながら僕はふたたび眠りに落ちていった。

こんな感じで、先月の関西旅行はいまいち不発。
また機会を改めて、出直そうと思っている。

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