青の洞窟を目指して 2011年欧州旅行記-25

ソレントからカプリ島へは高速船に乗って移動する。崖の上にあるホテルから、ソレント港へと続くマリーナ・ピッコラ通りを下る。とにかく気ばかり焦っていたので写真も撮れずに港へ急ぐ。港の入り口手前に小さな雑貨屋があって、そこでは500mlのミネラルウォーターを0.5Euroで販売している。それをめざとく見つけた彼氏が2本買い、僕らはチケット売り場へと向かった。


8:05出向の高速船に乗船。ジェットフォイルは独特のジーゼルスメルをまといながら海面を滑るように進む。普段、船に乗り慣れていない僕には、とても新鮮な経験だった。防波堤の外に出ても、それほど大きくは揺れない。これならば青の洞窟に入れるのではないかと期待は高まる。
カプリ島のマリーナグランデに程なく到着。港を背にして、右側の方へ歩いて行くと有料トイレがあった。ここでトイレを借りて辺りを見回すと、バス停が見つかった。ここからアナカプリ行きのバスに乗る。みんなのんびりしているし、バスを待つための日よけも長いので、つい油断するが、バスがものすごく小さいので乗り損なう事になる。


バスはなかなか現れなくて、僕たちは海を眺めていた。9時を過ぎて、港の方からボートが数珠つなぎになって沖を横切って行くのが見えた。また、日よけを広げた小さな観光船が、お客を乗せて現れた。「これはいい知らせっぽいね」と彼氏と喜んでいるうちに、オレンジ色の小さなバスに乗車が始まった。

僕らが乗ったバスは乗客ですし詰め。しかもバスはカプリ島の狭くて、急勾配の道を走って行くので、道中の写真を撮る余裕もない。道の両側には白い壁をまわした建物が建ち並ぶ。バスはその壁と、道路に枝を広げている樹木の枝に車体を擦りつけて走っているのかと思うくらい狭い。しかもすれ違いができない箇所では渋滞が頻繁に発生する。

やがてバスはアナカプリに到着する。バス停は町の中心部にあり、地元の人も「ここがアナカプリだよ」と親切に教えてくれる。だがしかし、青の洞窟へ向かう客は、もう一つ先のバス停まで乗って行かねばならない。

道沿いのバス停で下車すると、通りを渡ったところに小さなバスプールがあり、"GROTTA AZZURRA"と看板が掲げられている。ここでしばらく乗り継ぎのバスを待つ。


赤い髪をショートカットにした女性客が一人いる。たばこを吹かしながら彼女はベンチに座っている。やがて、僕らが乗車する予定のGROTTA AZZURA方面行きのバスが現れる。出発まであと10分ほど。ドライバーは彼女に気づくと親しげに話し始め、そして彼女の腰を抱きながらどこかへ消えてしまう……「こらっ!イタリア人!仕事しろっ!!」とあきれかえる僕ら。だけどここはイタリア。これくらいで腹を立てていたら、神経が参ってしまう。結局バスは、始発だというのに10分近く遅れて出発した。
アナカプリはカプリ島の中央部、高所にあるので、GROTTA AZZURRAへはほとんど下り道を走る。切り立った崖を刻んで作られた道路なので、車同士がかち合うと、所々に用意されたすれ違い用の待避場所まで下がらねばならない。

"GROTTA AZZURA"というバス停で下車する。世界的に有名な"青の洞窟"の入り口にしては、目立った土産物屋があるでもない、海のよく見える崖の上にぽつんとバス停があるだけだった。僕らは意気込んで崖の下をのぞき込む。やった!ボートが集まっている!!賭に勝ったね!!とガッツポーズを取りながら、僕らは船着き場へ続く階段を下りていった。

0 件のコメント:

コメントを投稿