田舎町で過ごした週末。

柳鰈の一夜干しは、さっと炙って。
やわらかい活ダコの唐揚げ。
木の芽。めずらしく、鶉の卵が添えられている。
栃尾あぶらげは花鰹とネギ、おろし生姜をのせ、醤油をかけていただく。

ここで、地酒の冷やをキュッと一口。

ホクホクとした食感の焼き筍。
厚焼き卵焼き。
水茄子の漬け物は、弾力のある薄皮をパチンと食い破る。

〆の焼きおにぎりは、豪快な大きさ。
いわゆる山賊おにぎりといわれるサイズ。
醤油仕立てのけんちん汁が添えられている。

食事を終えて、小料理屋をあとにした。
まだ19時。
小さな田舎町は歩いている人の気配もなく、宵闇の中に沈み込んでいる。

近所から太鼓と篠笛の音がする。
特に看板もない、薄暗い細い小路を、お囃子の音を頼りに歩いて行く。

突然、煌々と光が溢れている場所にたどり着いた。
小さな屋台会館。

入り口にはスニーカーとサンダルがたくさん転がっていて、Tシャツに短パン姿の小学生たちが、お囃子を習っている。ズドン・ズドンと腹に響く長胴太鼓と、トンカラ・トンカラと軽快な締太鼓。篠笛は高く、低く、時には掠れたような音色がする。

外に向かって開かれた屋台会館の前に佇んでいたら、そっとパイプ椅子が差し出された。厚意に甘え、腰掛けて練習風景を眺める。来月の夏祭りに向けて練習中だという。

トン・トン・トン
トン・トン・トン

僕も思わず足先で拍子を取っていた。

梅雨の合間のさわやかな晩。
目をつぶり、心地よい夜風に吹かれていると、昼間のゴタゴタなんかみんな流れ落ちてしまう。屋台会館から溢れ出す光と、古風なお囃子の調べが、僕の身体の中を通り抜けて行くような気がした。

今週末は、こんな感じで過ぎていった。

2 件のコメント:

  1. こんにちわ。
    食欲をそそそる文章に、お腹がすいてしまいますね。
    先週、中越あたりで大きな地震がありましたが大丈夫でした?

    返信削除
  2. こんにちは!>souchanloveさん

    旬の、地のものを食べているのが、一番身体に良いですよね。 (^-^)

    両親は田舎に残している家の中で、なにかひっくり返っていたら困ると騒いでいましたが、行ってみたら特に問題なしでした。地元の人はずいぶん揺れたと言っていました。

    一部では茨城県沖、房総半島沖で巨大地震が来るという話も出ていますし、枕を高くして眠れる日は相当遠くなりそうです。

    返信削除