彼は芸術に対して真摯な人でした:アルベルト・ジャコメッティ

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『アルベルト・ジャコメッティ 矢内原伊作とともに』を見るために、予定通り"川村記念美術館"へ行ってきました。今日の予定のためにフィットネスクラブを昨晩のうちにこなしたりと、ちょこちょこと時間調整が必要でした。
目的地は千葉県の佐倉市にあって、普段だったらクルマで東関東自動車道をすっ飛ばすところですが、矢内原伊作著"ジャコメッティとともに"を読みたかったので、JRに揺られて片道2時間近くかけて行ってきました。

自分としてはめずらしい。作品そのものよりも制作者たちに興味があって展覧会へ出かけて行くのは。
ジャコメッティは彼の目に映るものを「見えるとおりに」カンバスへ落とし込もうと苦闘した人です。ジャコメッティ自身の言葉を踏まえて作品の前に立つまで、その意味がよくわかっていませんでした。うろ覚えですが、彼は肖像画の多くが「らしく描いているだけだ」と言っています。そんなことを言っちゃってイイのかな?と正直思いましたが、ジャコメッティの手による有名作家の模写を見ると、確かに「らしく」描かれているだけな事がわかります。それらの肖像画は作家と 鑑賞者の間で暗黙に共有されたルールに頼った人物描写にすぎないのかもしれません。

ではジャコメッティ自身の作品はどうなのかといえば、 近づいてみるとまるでテクスチャーを貼る前のCGモデリングのようです。彼はしばしば顔について「構造」と言っていますが、まさにそれは構造なんですね。 ジャコメッティは顔を正面から描くことに苦しみ抜いていますが、確かに目に映る顔を構造として捉えた場合、それは直線で表現されるべきなのか、あるいは曲線なのか、陰影なのか、色彩なのか……凹凸という簡単な言葉では片づけられない顔面上の遠近、空間……縦横に伸びたり、ひっつれたり、あるいは(画家にとって)前方に盛り上がって見える表情……こういったものを統合した形で2次元のカンバスに落とし込むことは、まじめに取り組むほど気が遠くなる困難な作業であることが素人の僕にも分かってきます。

僕は絵が描けません。小学生の頃から苦手でした。
技術とかはさておき、僕にとって目に映るものを正確に紙に落とし込むことは至難なのです。世の中は複雑すぎる。色も、構造も、空間感(あえて感といいます)も、あまりに多くの情報を持ちすぎている。どこから手を付けたらよいのかわからない。だから僕は途方に暮れるのです。最初に絵の手ほどきをしてくれる先生が、絵を描く上での様式とか、情報のそぎ落とし方を先に教えてくれたら良かったのに……いまでもそう思います。ただそれはお絵かきであって、けっして芸術に続く道ではなかったでしょうけどね。

館内は混雑していないので、作品に対して遠近自由に接することができます。なのでフッと振り向くと、"アネット"の顔がとてつもないリアリティを持って迫ってきたりして驚きます。確かにそこに"人"がいる気配がしました。

ジャコメッティと矢内原伊作二人の、作品ができるまでのドキュメンタリーの方はものすごくおもしろいのですが、まだ読了していないので、感想などはあらためて書いてみようと思います。誤解されることを覚悟で書きますけれど、これは僕がいままで読んだ中で「最高に芳醇かつ豊穣な"BL本"」であり、もっとも高価なBL本です。もちろんそのような意図で記された書物では100%ありませんけどね。

さて、昨日はブログをサボったんですが、ネタはちゃんと用意していました。
クリスマスシーズン到来ということで、しばらくクリスマスに関係する風景を撮っていきます。"ミレナリオ"が昨年で終了してしまってさびしいですが、それはさておき……。今年第一号は"丸の内PCCWビル"のクリスマスツリーです。このツリーにはホワイトとパープルの電飾が飾り付けられていて、とてもスマートな印象を受けます。今年の流行でしょうか?

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