プラド美術館展へ行ってきたよ

曇り 12.0℃/6.3℃/70%
午後、雲が切れて日差しが降りてくるとじんわりと暖かくなる陽気だった。

さて、週末どちらかは外出することにしているのだが、今日は"プラド美術館展"を見るために、東京都美術館まで出張ってきた。上野公園口の改札を出ると漂うたこ焼きの香り……ああ、上野だなぁと思うわけだ。午後3時をまわっていたから、会場へ急ぐ。

のっけからなんだが、僕はスペイン絵画が苦手だ。モデルになっているラテン系の人たちは面長で、なんか疲れたロバを連想して気分が滅入るからだ。
スペインを代表する画家エル・グレコのユニークさは嫌いじゃない。立ち上る蒼いオーラは迫力満点だが、自分の部屋には飾りたくないなぁ(苦笑)。
またルーベンスの流れをくむオランダ絵画も僕は苦手。黒っぽい背景の中に浮かび上がる白磁のような肌の男女は演出は劇的だけど、ほら、僕は"印象派の青い空"が好きな男だから、光の量が足りないんすよ(苦笑)。

で、印象に残った絵をいくつかアラカルトに。

スルバラン、フランシスコ・デ 『神の愛の寓意』
これを見たとき、「おお!?『Romeo+Juliet』の意匠のルーツはここら辺なのか??」とびっくりした。燃えている心臓、光を放つ精霊を表す鳩が飛んでいる。これは映画の中で繰り返し出てきたイメージだ。ラテンの世界では一般的な意匠なのかな!?

"ボデゴン"
静物画のことだが、僕は静物画も嫌いだ……って嫌いなものばかり。だって静物画って僕的におもしろくないんだもん。と、いつもは駄々をこねるんだが、今回はちょっとちがった。ちょっと……いいね。

サンチェス・コタン、フアン・デ 『狩猟の獲物、野菜、果物のあるボデゴン』
これがね、とても瑞々しくて、背景の黒と手前の野菜や吊し鴨の色彩の間に強烈なコントラストが生じていて、おおっ、ちょっといいじゃん!と感じたのだ。
もう一つ。

メレンス、ルイス 『風景の中の西瓜と林檎』
夕方というか、嵐の前の曇り空のもとで光を放っているスイカの瑞々しい生命力。いいなぁ。おいしそう。


結局、僕はわかりやすい絵しかわかんないんだよ。
静物というと食べ物や花を描いていたものが多い。その食べ物を口にしたいと思うか、その花を手に取りたいと感じるか、そんなものくらいしか判断基準がないんだ。

テッツィアーノはヴェネッツィアを代表する画家で、今回も展覧会の目玉となる作品が飾られていた。ふむ……僕は同じヴェネッツィアの画家ならば、カナレットの方が好きだ。サン・マルコ広場を描いた彼の絵が好きだ。

そして、みんなが見惚れていた。
ムリーリョ、バルトロメ・エステバン 『貝殻の子供たち』


これは思いっきりイエスとヨハネを描いた宗教画なんだが。
天使のふたりがかわいい上に、なんか料理の味見をしているみたいに見えませんか?なんか台所に飾っていると。おいしいごはんができる御利益がありそうな感じ。ラファエロの天使とはひと味ちがったかわいらしさがあるね。

やっぱり時代的にオランダ絵画、ルーベンスの流れを汲んで、要は背景の暗い絵が続いていて僕的にはちょっと欲求不満だ~。 ^^;

ブッサン、ニコラ 『廃墟のある風景』
ちょっとアンリ・ルソーっぽくて、気になる一点。

バッタリオーリ、フランチェスコ 『アランフエス宮殿の眺望』
色のコントラストが強烈なせいか、まるでレリーフのように見える宮殿の塀が不思議な感じがした。ふむふむふむ。

で、僕が一番気になった作品は、今回もポストカードになっていなかった(T-T)。
ヨルダーンス、ヤーコブ 『メレアグロスとアタランテ』


ギリシア神話がルーツなんですね。
メレアグロスが中央の男性で、アタランテが右側の女性。
Wikipediaで調べたら、このエピソードの時点でメレアグロスは妻帯者、アタランテは未婚の女性……のハズなのに、絵画の中ではまるで青年と中年女。メレアグロスの、傲岸な若さを表現した肉体と、なにかにとまどって少し困ったように遠くを見やるまなざし。勝利の猪を見やるわけでもなく……。
それに対して、神話だとおそらくスプリンターのような肉体の持ち主のハズなのに、この絵ではボディラインの崩れたようなアタランテ。なんでこんな風に描いたのか謎だ。なにか寓意が込められているのか??

さて、次はなにを鑑賞に行こうかな ^^

0 件のコメント:

コメントを投稿