この曲を聴いて、幸せってなんだろうって考え込んでしまう人は案外多いのかもしれないね。歌詞だけ聴いていると、確かに幸せをつかみ損なった中年女性から話しかけられているような錯覚を受ける。あるいは"プリシラ"のオープニングでこの曲を歌う(もちろん口パクさ)強烈なドラァグクイーンのイメージも作用 しているのかもしれない。
歌詞には当然メロディがあって、サビの
Oh, I've been to Niece and the Isle of Greece while I've sipped champagne on a yacht
I've moved like Harlow in Monte Carlo and showed 'em what I've got
I've been undressed by kings and I've seen some things that a woman ain't supposed to see
I've been to paradise, but I've never been to me
ここの部分は夢を見ているような美しい盛り上がりがある。
この曲を聴くと僕の脳裏にはこんな情景を思い浮かべる。
雪で閉ざされたオヘア空港。
なかなか出発しない飛行機の搭乗待ちにみんなうんざりしている。
待合いロビーでたまたま隣同士になった女性(イメージはスーザン・サランドン)が身の上話を始める。
「私はいま一人きりだけど」彼女は肩をすくめて言う。
「楽しかったわ……私の人生もそれほど悪いものじゃなかったと思えるの」
そして彼女は小さな旅行カバン一つを持って、また別の土地へ旅立ってゆくのだ。
こんな風に、僕はこの曲の中に開き直りのような強さを思い浮かべる。
それは自分の人生を引き受けてみせるという覚悟みたいなもんだろう。
ただ嘆いているだけならば、字面通りの因果応報話で終わってしまうんだけど。(^^;