BL漫画レビュー:お金がないっ

新宿は伊勢丹のバーゲンで激混み!
駐車場へのアクセスがとんでもないことになっていたので引き返しました。途中の神楽坂"紀の膳""抹茶ババロア"をおみやげに買って来ました。コストパフォーマンスは最悪だけど、確かにおいしい抹茶ババロア。

は、さておき。
今日の素材は香坂透 『お金がないっ』
織田裕二のドラマとはしっかり別物だ、

金融業を営む狩納北は、借金のカタに競売にかけられた美少年・綾瀬雪弥を競り落とし助け出した。強面で"オレ様"狩納をなかなか受け入れられない綾瀬であったが、愛情表現は不器用だけれど自分のために身体を張って守ってくれる狩納に、徐々に心を開いてゆくのであった。

綾瀬のお買いあげ金額1億2千万円の借金は、¥500,000/H1回で返済中。利子が付かなければ240回Hすれば完済ですね。(^^;

この作品を読んでいて2つのことを思った。
1 つは狩納と綾瀬の最初のH。ほとんど初対面の男に無理矢理犯されたら、肉体的ショックと精神的ショックでボロボロになる。男性とのH経験がなければさら に。だから初回のHで嫌がり、泣き叫び、自分に侵入しようとする相手を拒絶するのは、とても自然である意味安心すらするのだ。冗談じゃなくて、クスリでも 盛られてなければ、タチがどんなにテクニシャンであっても、バックに入れられて"あっ、あん……気持ち、いいっ"とはならないよ。

古典的同性愛マンガの文脈中で、女性の初体験を男性体に仮託して痛みを加えるという描写が、女性自身によるオトナへの通過儀礼の仮想体験であるといわれる。 吉田秋生は作品の中で「女の子は節目節目で、いつでも痛い思いをするようになってるんだよ。でも、それが女の子なんだよね」と語っている。強姦され痛みにのたうち回る少年たちは、(一部の)少女たちにとって形代(かたしろ)であったのだ。
しかし最近のBLにおいて、その仮託された肉体が初回から快楽におぼれているというところに、すでに通過儀礼としての"痛み"は 社会的な意味を失っているのかもしれないと思った。(個人的な体験だが)少年時代であれ、少女時代であれ、性に目覚めて、(やがて)Hの気持ち良さには溺れつつも、一方でもう失われてしまった幼年期に惜別の思いを感じたものだ。オトナになって事で得られたこと、失ったこと。それは少し心細い、寒々とした手 応えだった記憶がある。

ということで、綾瀬くんの反応はとても腑に落ちるのだ。
相手を受け入れるということは、ある程度の時間とエピソードの積み重ねが必要だと僕は思うからだ。

2つ目。
借 金のカタに買われちゃう綾瀬クン。今でこそ男子高校生の援交もままあることが認知されているが、一昔前では若い男の性(たとえば高校生、大学生)が商品に なる世界はゲイくらいなものだった。小ぎれいな男性はゲイ……つまり容姿や若さを含めて自分の商品価値に気づいていたのがゲイたちだった。Hして借金を返すとか、お金を稼いじゃうとか、これらすべては"商品"だから始まる話。最近の男子高校生の多くは自分が商品になりうることに気づいているし、売り物にするかどうかは別として、自分の商品価値を高めるためにいろいろ手入れしてる。僕が現役高校生だった頃とは隔世の感がありますね。


1.絵柄
なかなか巧みです。綾瀬クンが小動物っぽく描かれています。ゲイの世界ではいままで紹介してきたようなほとんどノンケ男性と変わらない人がいる一方で、綾瀬クンのような小動物系美少年もかなり生息しています。こういう男の子はアクセサリーの使い方がうまいんだよな。ノースリーブはこの手の小動物系美少年には ピッタリです。

2.ストーリー
強面の"タチ"狩納が、小動物系"ウケ"綾瀬を徐々に手懐けてゆく展開です。確かに拒否られていた自分が、相手に受け入れられて+愛されるようになるのは最上の喜びです。
お酒に溺れるウケキャラというのは、わりとめずらしい設定なのかな?

3.エロ度
なかなかエロイです。華奢な綾瀬クンの乱れっぷりがすごいです。

4.まとめ
BLコメディ作品としては佳作だと思います。適度な愛情表現と適度なHシーンと。

絵柄 :★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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