BL漫画レビュー:『1/365の恋人』 たつもとみお

「俺より好きな相手ができるまで、年に一回誕生日にデートしてやるよ」

高校の卒業式の日、思い余って告白した隆史に、颯はそう言ってくれた。

それから10年。

律儀にデートの約束を守る颯に隆史の思いは募るばかり。

……このままじゃ、ノンケ相手に片思いの人生だ。

区切りを付けるために、"好きな人ができた"という嘘をつくことにしたが……。

せつなくも挑発的でエロティック!
友情と欲情に揺れる片恋ストーリー。


いままで「片想い」って漢字を使っていた僕としては、「片思い」はちょっと珍しい気がしたんだが、別に普通なのか!?

まあなんだ、タイトルを見た時、お約束通り最初は「セフレ365人分の1」の恋人とか思っていた。カバー絵がなんか愛人とパトロンみたいな雰囲気だったから。実際読み始めると、あらすじ部分は冒頭見開きで描写されているので、いきなり出オチみたいな印象がある。



だが、「好きな人ができた」と隆史が告げた夜、飲み過ぎて意識を失った颯のポケットから東京北海道間の飛行機のチケットが出てくる。颯は隆史と会うために東京まで出てきた。「去年は都内に住んでいるって……」って。えっ!?、同じ都内に住んでいて1/365日しか会ってくれないって、ちょっと酷すぎない!?と吹いてしまった。や、ちょっとひどすぎるだろう。もっと会ってやれよ、七夕じゃないんだから(w

颯には女がいて、しかも高校時代も隆史が自分に好意を抱いていることを知っていて、わざとボディタッチして隆史の反応を確かめていたりもする。ちょっと性格悪いのか?
でも年に一度決まった日に時間を作って10年間会い続けた二人。
その最後の日、酔った颯にキスをしたら、受け入れてくれた。これから襲うぞ!と準備を整えて出てくると、颯は寝落ち。翌朝、颯が北海道に戻るため家を出る間際「今度はお前が会いに来いよ」と颯は言い残す。2/365日の約束ができた幸せを隆史はかみしめる。

ここまでが第3話。第4話以降は札幌でデートしたり色々と。

遠距離、どちらかが逢いに来るネタとしては、昔々に紺野けい子作「Love Me Thru The Night」という名作があって、こちらもノンケに片想い10年目という設定。ただし、ゲイの柏木律はセフレをローテーションしてるようなヤリチンだし、ノンケの時田ひろはちょくちょく律に会いに来る。ひろが来るのはうれしい反面、裸で部屋にいるセフレをどうやって帰らそうか律が悩んだり、個人的にはこちらの方がリアルで好きだったなあ。

というのは、「Love Me Thru The Night」が新幹線移動であるのに比べ、1/365の恋人は飛行機で移動なんだよね。お金さえあれば東京名古屋間を新幹線で移動なんて特別な感じはしないけれど、飛行機に飛び乗りってよほどのことがないとやれないし、手間暇かかるから特別感がある。その分生活感のない感じにはなるとは思う。どちらに振るか、作家はいろいろと悩ましいところだね。

.絵柄
悪くはない。ただ、もっと精進は必要かと。

2.ストーリー
ノンケに恋した10年間。しかも会ってくれるのは年に1日というひどいノンケ。会った1日くらいはヤらせてくれるのかと思いきやそれもなし。いろいろとひどい(w。
だけど颯の暮らす北海道編はなかなか良い。札幌にはロマンがある。

3.エロ度
二人ともガリなんで、ぜんぜんエロさなし。いろいろエロイ事やっていてもエロイ感じがせず。なんか風と木の詩のジルベールとセルジュのオマージュ??みたいな。
颯がウケだったらすごい展開だったと思うが、それもなく。

4.まとめ
カバー下のおまけ漫画がかわいいかな。
「ね、颯」
「ん?」
「好きだよ」
「え、何急に?Hする?(おっまえイケメンだなー)」
「ちっがーう!!もっとウブいの下さい!!」

絵柄 :★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★☆☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

走るためのグッズ

ときどき走ってます。
寝酒するより、30分走った方がよく眠れるので。

で、やっぱりただ走っているのも飽きるので、ランナー(?)にありがちなグッズを買ってみた。一つは音楽を聴くために、BackBeat FIT。


自分としては、コードがユラユラ揺れるのは嫌で、かつ、カナル型は耳からポロッと抜けることがあってこれも嫌だったんですわ。BackBeat FITはぴったりフィットして、かつ、外部の音も適度に入ってくるので事故らないし、まあ良いかと。
電話の通話もできるので、それなりに便利だと思う。

もう一つ、Runtastic Timer。
よく知らないが、タバタ式トレーニングというものに使うらしいモノ。インターバルタイマーとして汎用的っぽいので、色々使えると思われます。英語ですが、音声でワークアウト、レストと指示が出るので、それに合わせて動いていればOK。音楽流していると、インターバルの指示が入るので、それがイイ感じ。

ま、日々の充電の手間は増えちゃうんだけどね。
いろいろと便利。


BL漫画レビュー:『エスケープジャーニー』 / おげれつたなか

人気BL漫画家のひとりに輝くおげれつたなかの最新作。

何度離れてもまた君を好きになる。

「性欲処理」呼ばわりされて別れた元カレ太一と、大学でまさかの再会を果たした直人!
ガッツリ過去の怒りを引きずっていた直人だったけど、高校時代に比べ成長した太一に少しずつ心を許し始める…。
そんな中、友達のふみちゃんが太一に恋しているらしく…?
友達だと相性バツグンなのに“恋愛"になった途端うまくいかない、傷だらけの恋愛譚!

描き下ろしは“おもらし"ですv

おいっ! ヾ(ーー )ォィ

おげれつたなか4冊目のコミックスだそう。
泣き顔ドアップを多用しすぎ!とかいろいろと厳しいことを書いてきたけれど、作品自体は売れてるだけあってそれなりにツボが押さえられているなあと、今までは思ってた。で、4作目が来て、ちょっと息切れしているような気がしてきた。

エスケープジャーニーの特徴は、舞台が共学の大学、女性がかなり絡んでくるという点。これがちょっとやばい。登場人物にゲイが混じっていたとしても、共学である以上青春群像になる。BL以外に集英社だの講談社だのの少女漫画、女性漫画で目が肥えている読者からすると、申し訳ないが上手い同人誌レベルのストーリー作りと画面処理という印象を受ける。

ストーリー全体に「最終的な二人の関係」というテーマが通奏低音として流れている。高校時代に両親が離婚した太一。コミ症気味で、直人に執着している。家族に恵まれた直人。ただの性欲処理の関係だと捨て台詞を吐かれた直人。太一に恋する女の子ミカ。恋人関係になると壊れてしまう直人と太一。太一の腕に手を回すミカを見て、直人は思う「女の子は友達、恋人、それから結婚して、家族になる」「でも俺と太一は恋人がゴールで最後だった」と。



肉体関係になにか名前を付けるとしたら、それをなんて呼べば良いのだろう?
(やべぇ……中島みゆきだ……)

「俺……太一の友達と恋人にはなれても、家族にはなってやれないのに。
 こえーんだよ。
 なんか……なんでもいい。
 名前がつかないと、友達とか恋人とか…家族とかさ
 先に進めないのは怖い。
 ずっと立ち止まったままいるみたいで」

「友達とか、家族とか、関係に名前がなきゃ一緒にいちゃだめなのか。
 家族って名前がついたところでなんにもならないよ。
 なぁ……好きだよ
 なおと一緒に生きていきたい
 これってどんな名前だと思う?」

これはけっこう重たいテーマで、ゲイ業界でもあまり突き詰めて語られないテーマなんだ。リブ系の人たちが同性愛結婚を認めろとか運動しているけれど、同性愛結婚式で話題になったカップルがすぐに別れている。形式以上に男が二人で暮らしてゆくことの難しさってある。タックスノットの大塚隆史さんの著作くらいかなあ、この手のテーマを取り上げたのは。僕らもまさにそれに挑戦中であるのだけれど。

難しいテーマに挑戦した試みは賞賛したい。けれど、このテーマはセックスシーンの多様よりも、こんなリリカルで秘密めいたコマを繋いでゆく方が、もっと共感できると思う。


1.絵柄
今回はうーん、あまりいいなぁと感じるコマは少なかった。残念。
直人はオリラジの藤森にしか見えない(w

2.ストーリー
端的に言うと「二人の関係に名前を付けるとしたら、なんと呼べばいいのだろう?」というテーマを通奏低音にした青春群像。同学年の女の子がかなりコミットしてくるが、一方で直人と太一以外の同性愛者は出てこないという、わりと変わった設定。同性愛でも、BLでもなくて、ただの「愛の形の物語」と受け止めるのが正しい読み方なのかもしれない。テーマ設定には共感するが、うまく捌けていない印象。

3.エロ度
すごくエロイ。
だが、おげれつたなかさんの描くエロは萌えない。なぜだろう?

4.まとめ
うーん、、、、悪くはないけれど、あまり印象に残らない作品かも。

絵柄 :★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★★★☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

バクマン。観てきましたよ。

で、タイトルの通り。
今週末は彼氏とホテルに泊まって、メシ食ったり、服買ったり、映画観たりと、わりとカップルっぽいことをやっとりました。

で、今日午前の回で「バクマン。」を観てきましたよ。
真城最高役の佐藤健と、高木秋人役の神木隆之介を堪能。
おもしろかった!
あと、小畑健、絵が上手すぎるわ!

もちろん20巻もある原作を詰め込むことはできないので、やや同人誌的に設定だけ借りてバクマン。のエッセンスを再構成しましたという印象。途中のバトルシーンとか、噂のエンドロールは秀逸。一方で、エッセンス再構成版みたいな作品なので、亜豆美保とのラブコメエピソードは収まりが悪かった。単なるスポ根漫画映画にした方がスッキリとした感はあったかな。

「バクマン。」自体、ものすごくよくできたジャンプ編集部のリクルーティングブック。それを一流作家を使って、一流エンタメにしてしまったところがすごいんだけど、商売として才能の発掘をシステム化している点は、日本経済活性化の特効薬的処方箋なんだろうなあ。政府はトヨタなんかの研究するより、ジャンプ編集部の研究をやったら良いと思う。

BL漫画レビュー:金子アコ『ハメられホスト』

「Kissing」のナンバー1の圭吾が自分の指名客にしようと狙っている永瀬医師は、いつも美人ナースたちを引き連れて来店しながらも圭吾を「かわいい」などとからかってくる食えない男。
だけど、生意気な後輩の智也にトップの座を奪われないためにも、絶対モノにしたい…!!
そこで圭吾は、「指名客になること」を賭けての飲み比べを自ら永瀬に持ちかけて-!?

欲望×快感×劣情まみれ、
イケメン三つ巴フィーバーラブ(❤)

Amazonレビューでほったらかしにされている金子アコ作品が今日のお題。
BL読者目線で結論を言うと、絵柄は上級者向け、ストーリーはわりとおざなりというかありきたり。ビジュアルを楽しむにはおもしろい作家だが、ストーリー重視の人は喜ばないだろうなあと思う。

「ハメられホスト」……魅惑的なカバー。前髪系(これは最近二丁目で覚えた)、シャツをはだけて6ブロック腹筋を見せつけるイケメン。ナンバーワンホストという設定。
だが、内容は……。


オンナを貢がせてナンボのホストが……。

太い開業医の指名を獲ろうとして……

ハメたつもりが、ハメられた。

以上!だ。
他に後輩とやっちゃったり、医者と後輩と3Pになったり、プラグ突っ込まれたり、まあいろいろとあるんだが、わりとどうでも良く、最後はハッピーエンド。

エロ好きの腐女子にはウケるのだろうけれど、ややマニア向けなのかなとも思う。というのも、一般的に腐女子って「重い」じゃん。少なくとも僕が出会った腐女子、オコゲは恋愛に対して重たい人が多かった。その重たいカルマを精算できれば、恋愛なんてチョロいもんなのだけど。

で、ホストクラブが舞台のBLっておおざっぱに言うと、すごく重たい過去を背負ってクラブに拾われるパターンと、徹底的にチャライ男がうっかり男にはめられちゃうパターンの二種類しかない。前者は新田祐克の「男が男を愛する時」とかあって、それなりにファンは付くと思う。が、後者はなんてか、腐女子の心に刺さりにくい設定なのだよな。腐女子って頭の悪い男が嫌い、もてていることを鼻に掛ける男は嫌い、頭の悪い男は中身がないから嫌いと、圭吾のようなキャラをいじくってもあまりウケない。

だがしかし。この作品の設定をひっくり返しホスト圭吾が、永瀬医師をひたすら一途に想い続け、バカなのに無謀なアタックを繰り返し、ボロボロになったところで最後に想いは通じる、みたいな展開だったらウケたんじゃないかな。こんな設定の作品はすでにあるはずだけどさ。


1.絵柄
基本的に上手い。だけど最近のWebコミック出身の漫画家の絵柄とは異なる。昔からあるボーイズラブ、青磁ビブロスのころからあるなにかを正常進化させたらこうなった、って感じ。以前のBL漫画はレディスコミックの作家が書いていた時もあったから、そっち方面のデジャヴュ感もある。

2.ストーリー
あらすじと、この記事で紹介した以上でも以下でもなく。エロを描くためにストーリーをくっつけたという程度。ホストならではの世界観、医者側の世界観もなく薄味。エロを楽しむためならそれでもいいと思う、ポルノになっちゃうけどな。

3.エロ度
とにかくエロイ。だけど変に捻っていないので、健康的なエロさとも言えるか。

4.まとめ
やっぱポルノっすかね……。
いい原作者を付けて、濃厚にエロイ作品を描いたら大化けする作家だと思う。例えば大正、戦前の昭和あたりを舞台にした作品とかで、置屋に売られたとか、軍人さんが出てくるとか、学生寮で、とかね。

絵柄 :★★★★☆
ストーリー:★☆☆☆☆
エロ度 :★★★★★
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)